高畑勲監督

わたしには「強い影響を受けました」「憧れています」「目指しています」と言い切れるほどの強い思い入れのある作家さんや作品が特にありません。
そう言い切っていいほど、追い続けているとか欠かさず見ているという「根拠」というか、作家・作品についての詳しい情報を持ち合わせていないというのが正直なところです。

ただ、「人物の動作やしぐさ、感情の機微をきちんと描きたい」と思うようになったベースにあるのは、子供のころに見ていた「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」「赤毛のアン」です。
(「きちんと描きたい」という言葉では印象が強すぎます。「描くに当たっては反芻し続けそれを保持したい」みたいなニュアンス)


登場人物の個々にはバックグラウンドがあって
相互の関係性があって
だからこそある状況で、その言葉をそのニュアンスで言う(言わない、言えない)

「キャラクター」という言葉が、名前だけ、肩書きだけ、容姿だけ、形だけ――「だけを表す言葉ではない」ことを考えるタネを蒔いてくれていた作品。


わたしにとっての規範となる作品。
そういう作品を作ってくれた、残してくれた方のひとりです。