ガマット

「しずくのトンネル」
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らとずみさんちの「ふぁぼれよの子」をまたまた勝手にお借りして、前回の春の「ピンクのトンネル」に続いて梅雨バージョン。
紫陽花とレインコート姿を描きたくてこうなりました。


下描き
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前回の下描きにレインコート、背景に紫陽花と木の葉を描き足しただけです。
塗るときに体形、体勢を見失わないようにガイドが残してあるのできれいじゃないですね。
この段階ではレインブーツは描いてなくて、塗りながら「白いブーツで口とソールの境に黄色のラインがあって、内側が淡い紫はかわいくないかしら?ないかしら?」と思って描き足しましたが…小さくてわからないよ!


「このキャラクター(容姿)を描きたい」「この形(パーツ)を描きたい」という描き方、進め方とは別にシチュエーション、感情、印象などをイメージしてそれを主題にして描く、進める場合に(これはどちらか一方だけというより後者を含んだ場合に)――
色(の選択)がその主題を引張ってくれる、演出してくれることは感覚や体験から知っていたりします。

例えば、赤から炎や熱さ、青から水や冷たさを想像できたりします。
逆に言葉から色を想像して、その色や配置を選択できたりします。
情熱、怒りは赤でしょうか、冷静、静寂は青でしょうか。
不安は黒っぽい色でしょうか、緊張は暗い色に明るい色を筋状に置いたり霧状に置いてみるのがいいでしょうか。

「夕焼け」という言葉が与えられたときに多くの人が「赤」やそれに近い色を思い浮かべると思います。
ただこの場合、同じ言葉から同じ色、近い色を想像することはできても「夕焼け」というシチュエーションを定めると、すべての人を色から同じ印象、感情に誘導することは難しくなります。
ある人は「夕焼け」の「赤」に単純に「一日の終わり」を重ねて安堵だったり、寂しさを感じたり、ある人は同じ寂しさでも子供の頃に経験した友人たちとの「楽しい時間との相対」としての帰宅の寂しさを強く思い起こしたり、これからやってくる暗闇に不安を強く思うある人は「先行する不安」を感じたり、ある人はもっと先の「次の日」を思い不安や希望を感じるかもしれません。

こんなふうに色で演出できることを知りつつ、演出するにしてもそこには幅があって、成立させるにはできるだけ多くの人に共通するイメージを保つ必要があることを思うと、結局はその知識や技術を持ち合わせていないことに突き当たります。

色の選択、「共通するイメージ」という部分にどうしても主観であることを拭い去れないとして、イメージを保つにはどうしたらいいのか?
主題から選択した色とその中に描くものの持つ固有の色はどう相対化したらいいのだろうか?
すべて単純に混色でいいのだろうか?
その場合、主題から選択した色を持つ光源からの光が当たっている状況との違いはどう説明できるのだろうか?どう説得力を持つのだろうか?
などなど、考えればわからないことばかりです。


そんなときに知ったのが「ガマット(gamut)」という言葉。
日本語では「色域」です。
検索をするとモニタや印刷などの出力側の色再現域(どの色を出力、表現できるかの範囲)を指しているものに多く行き当たると思います。

今回知った「ガマット」についての方法は、正確には「ガマットマスク」「ガマットマッピング」と表現した方が良いのかもしれません。
使いたい色、使おうとする色を含む任意の領域(ガマット)をあらかじめカラーホイール(色相環)の内側に設定(マスク、マッピング)して、そのガマット内の色を用いる方法です。
ガマットの形状(ガマットマスクの形状)は三角形や多角形が一般的なようですが、特に決まりはないそうです。

ガマット内の色だけで構成された絵は、カラーホイール全体と比較すれば限られた色数であるにもかかわらず、調和がとれているように見えるそうです。
上で書いた固有の色の相対化についても――例えば、ある固有の色の色相においてのカラーホイールの外縁から中心への彩度の変化の幅が、ガマット内の彩度の変化の幅に限られたと捉えることができますし、ガマットにその固有の色の適度な彩度の色がなかったり、色相が含まれていないのであれば隣接する色相へ移行したもの捉えることができます。


こちら「The Gamut Mask」というサイトでカラーホイール上にあらかじめ用意された図形でマスクしてガマットを設定することができます。
スクリーンショットを保存するか印刷するなどして利用できます。


「The Gamut Mask」を利用して一番上に載せた「しずくのトンネル」のガマットを作ってみました。
ちょうどいい大きさの三角形がなかったのでカラーホイールから頂点がはみ出てしまっていますがこんな感じ。
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梅雨の雨上がりの少しだけ明るくなった雰囲気、全体的に霞んだ感じを出したかったので、カラーホイール全体の彩度(Chroma)を下げて、明度(Value)を上げています。

次のことを考えてこの形、配置のガマットになっています。
水色、ピンクの紫陽花と背景の木々の葉はできるだけその色相の色を使う。
「ふぁぼれよの子」の固有色の淡い紫がかった髪、白いレインコート、2色の紫陽花の陰影に共通した紫を使う。

今回は練習のために直接このガマットから色を拾うということはせず、ガマットに収まるように自分で色を作るようにしてみました。


そんなこんなでできあがったわけですが、正直なところまだよくわかってません。
こんな感じでいいのかしら?
限られた範囲の色をそのまま使っているので描いていて確かに違和感はないといえばないのですが、紫陽花も木の葉も「そのまま」を使って冒険していないからかもしれないし。
でも、湿度と光のぼんやりとした雰囲気の色合いとしてはいいような気もしてきてるし…。

気付いた点があるとすれば肌の色です。紫が主の色になっているので、たぶん補色の関係かしら?そのまま「肌色」を使うと緑がかって見えるので少し明るい色で塗りました。これは相対化という範囲のできごとのような気がします。


「ガマット」という言葉を知ったのは「カラー&ライト~リアリズムのための色彩と光の描き方~」というタイトルの本です。

光がどのような効果を見せるか、色をどう変化させるか、また色をどのように選択するかなど、各項目を説明に対して具体的なイラストや図を添えて文章で明示するような構成になっています。
着色の具体的な手順や手法の解説書ではありませんが、光、色の効果を実際の風景写真ではなく描かれた絵、イラストで多く例示しているので描く側、描きたいと思う側の人にとってはとても「読み取りやすい」のではないかと思います。


たぶん3月頃、はてなハイクでドアノブさんがこの本のタイトルを書いてらしたのを見かけてすぐ買ったのですが、6月に入るまでずっと積んだ状態だったのでした。
もっと早く読んでおけばよかった。
でも「これを知りたい」とか、知ろうとするタイミングが合ったからこそやってみようと思うんだよね、たぶん。
買ってすぐ読んでいたとしてもそれが何を意味してるのか理解できたかとか、使う場面を自身で設定できたかとか考えるとできないような気がします。
ドアノブさんにこっそり感謝、感謝!


来月…もう8月…。
次は「木漏れ日のトンネル」かな。


あ、SAIでも30秒ドローイングはじめました。
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実は30秒ドローイングをやっているときに徐々に、そしてかなり力んでいて左手を「ctrl+z」に置いて半身のような状態でそんなだから、左肩が横方向に上がらなくなっちゃったり。痛い痛い!
「これは良くない!」と思って改善しようというのと、もう少し繊細なペンさばき(筆さばき)を身に着けたいなあと思ってはじめてみたものの、30秒でフォーム読み取って落とし込んで、線も気にするのは無理…無理。
でも「また0から」の感覚が気持ちよかったりします。


では、では。